6月のお知らせ(アンチドーピング)

今月はアンチ・ドーピングについてお話しします。

ドーピングは、競技者の身体に悪影響を及ぼす可能性があり、

スポーツの価値を否定します。

ドーピング違反をすると、参加資格を失ったり、成績を抹消されたりします。

 

1999年に設立された世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が次の2つのどちらかに該当すると判断した場合、その物質は禁止表国際基準に掲げることが検討されます。
(1)隠ぺい薬である
(2)次の3要件のうち2つの要件を満たす
  i)競技力を向上させ又は向上させ得る
    ii)健康上の危険性を及ぼす又は及ぼし得る
   iii)スポーツ精神に反する

 

 

【禁止表国際基準】

 

常に禁止される物質と方法 [競技会(時)および競技会外]
[禁止物質]
S0.未承認物質
S1.蛋白同化薬
S2.ペプチドホルモン、成長因子、関連物質及び模倣物質
S3.ベータ2作用薬
S4.ホルモン調節薬および代謝調節薬
S5.利尿薬および隠ぺい薬
[禁止方法]
M1.血液および血液成分の操作
M2.化学的および物理的操作
M3.遺伝子ドーピング

 

競技会検査で禁止される物質と方法
[禁止物質]
S6.興奮薬
S7.麻薬
S8.カンナビノイド
S9.糖質コルチコイド

 

特定競技において禁止される物質
P1.アルコール
P2.ベータ遮断薬

 

これらの物質は、筋力増加や持久力の上昇(S1、S2等)で競技力の向上が期待できる物質や、
尿量増加等でスポーツ精神に反したり隠ぺいできる薬(S5等)等です。
ちなみに、治療で言われることが多いステロイドはS9の糖質コルチコイドで、

筋力増加を期待される男性ホルモンのステロイドはS1です。
S9は全身投与のみ禁止されています。

 

禁止表国際基準は、最低1年に1回更新され、1月1日~12月31日まで有効です。

毎年10月頃に翌年版がWADAのWEBサイトに公開され、正式な日本語訳は12月上旬に

日本アンチ・ドーピング機構(JADA)のWEBサイトで公開されるので

最新の情報をもとに対応してください。

 

☆漢方薬・サプリメントについて
漢方薬は動植物や天然物から由来しているため、すべての含有成分が明らかになっているわけでは

ありません。
そのため、禁止物質を含有すると分かっている漢方薬以外の漢方薬についても禁止物質が完全に

入っていないと保証されません。
薬以外のサプリメントや健康食品も同様で、すべての含有成分が明らかになっているわけではありません。
そのため表示成分に禁止物質が無くても、禁止物質を含まないとは限りません。
WADAや国際オリンピック委員会(IOC)は、サプリメント摂取を推奨しておらず、

摂取はアスリート自身の自己責任となります。

 

薬などの使用判断は、アスリート自身が下すべきものであり、自己責任が課せられます。
その判断に迷ったときはスポーツファーマシスト、薬剤師会、JADAに相談されるとよいでしょう。
http://www.playtruejapan.org/medicine/

 

2020年には東京オリンピックが開催されます。
アスリートがどんなパフォーマンスを繰り出すのか今から楽しみですね。


平田店 前田