6月のお知らせ(次亜塩素酸水)

 

今月は消毒剤である次亜塩素酸水についてお話します。

 

 

  新型コロナウイルス対策に使用するエタノールが手に入りにくい状態が続いています。そこでエタノールの代替品として種々の消毒剤がテレビ等で紹介されていますが、その中でも注目されているのが次亜塩素酸水です。

 

 

  次亜塩素酸水は食塩水を電気分解し、その結果生じる次亜塩素酸を主成分とする水溶液です。特徴として優れた殺菌効果があるものの、人体には無害であるとうたわれています。しかし、各種製造会社から次亜塩素酸水が発売されていますが、中には危険なものもありましたので、その点についてご紹介したいと思います。

 

 

  まず、次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムを混同している場合が多いです。どちらも似た名前ですが、全く異なるものです。

 

  次亜塩素酸ナトリウムは強力な消毒剤で、漂白剤に使われています。皆様よくご存じのハイターの主成分が次亜塩素酸ナトリウムです。次亜塩素酸ナトリウムは人体には有害であるため、使用する際にはマスク、眼鏡、手袋が必要で、換気をしなければなりません。もちろん手の消毒には使えません。しかし、次亜塩素酸ナトリウムを薄めて次亜塩素酸水として発売しているものが決して少なくありません。

  先ほど紹介した通り、次亜塩素酸水は食塩水を電気分解して製造するという定義があるため、次亜塩素酸ナトリウムを薄めたものは次亜塩素酸水ではありません。

  また、塩素系消毒剤は有効塩素濃度の高さが消毒能力の高さと関係するため、有効塩素濃度が非常に重要となります。

     購入する際には主成分は何か、有効塩素濃度はどの程度かを確かめてください。粗悪品は主成分や濃度の記載すらないものもあります。記載がない時点で購入するべきではありません。

 

 

  次亜塩素酸水はコロナウイルスに対して有効性があるという証拠が今のところありません。今後明らかになってくる可能性はありますが、現時点ではコロナウイルス消毒のためには用いるべきではありません。エタノールや通常のハンドソープは効果があります。また次亜塩素酸水を加湿器等で空間に噴霧することで除菌できると宣伝していることが散見されますが、どのような消毒剤も空間に噴霧することはどの国においても奨励されていません。呼吸器に障害を起こす可能性がありますので、噴霧しないようにしてください。特に次亜塩素酸ナトリウムを噴霧した場合は確実に有害です。

 

 

  きちんとハンドソープを使って手洗いすれば、特別な消毒剤は必要ありません。上で述べたように次亜塩素酸水には粗悪品が相当あります。皆が使っているから良いもの、というわけではありません。

 

  様々な情報が溢れかえっていますので、困った場合は是非薬剤師にご相談ください。

 

                                 川島店 平