6月のお知らせ(水いぼ)

  

今月のトピックスは、水いぼ(伝染性軟属腫)についてです。 

 

皮膚の小さな傷などからウイルス(伝染性軟属腫ウイルス)が感染することにより、細かないぼができる症状です。皮膚のバリア機能がまだ未熟な小児によく見られる症状で、25㎜ほどの大きさで表面に光沢があり中が透けて白く見えます。いぼの中にウイルスの塊があります。基本的には自然治癒することが多く、数か月かけて徐々に増えてゆき、いつの間にか自然に治ってゆきます。ただ、治癒にかかる期間は半年から3年ほど長く、その間に再発を繰り返しやすいことも特徴の一つです。

 

かゆみや痛みはないとの意見もありますが、実際には、患部を掻くことにより、中のウイルスが付着して症状が広がるようなケースも多く見られます。乾燥肌やアトピー性皮膚炎、免疫力が低下する病気にかかっている場合(ステロイド投薬中)などでは、全身に広がったりする場合があります。 

直接掻く場合だけではなく、衣服の刺激などでもいぼがつぶれて内部のウイルスが放出され、症状が広がる可能性があるので注意が必要です。水いぼの数が少ないうちにスキンケアを行い、感染が広がらないように対処・治療することが大切です。

 

水いぼがあってもプールの水ではうつらないので、プールに入れるとする公式見解はありますが、実際の対応は施設によって異なる場合が多いです。タオル、浮き輪、ビート版などを介して感染する可能性があるため、水いぼを取らないと水浴びができなかったり、プールに入れてもらえない場合もあります。プールに入った後は、シャワーで肌をきれいに洗うことが大切です。

 

 

治療法について

 

・摘除処置 

  (痛み止めのテープを貼ってから)ピンセットで水いぼを摘除する方法や、液体窒素(約-196度)で凍結させる方法があります。ただ、水いぼの大きさ、数、治療箇所、これからも発芽して数が増えてゆくのかどうかによっても、摘除すべきかどうか判断が変わることもあります。

  

・内服 

  ハトムギ茶の成分で化粧品にもよく入っているヨクイニンが処方されることがあります。皮膚の新陳代謝

 を高める働きがありますが、効果については個人差が大きく(あまり効果が得られない場合もある)、また 

 効果が得られるまで13か月ぐらいかかります。

  

・貼付剤、塗布剤 

  サリチル酸絆創膏(医療用のスピール膏、市販薬は水いぼ禁止となっている)の貼付や、イソジン液や硝酸銀を塗る方法があります。

 

水いぼの周りの湿疹や掻いて赤くなっている場合は、ウイルスが散らばるのを抑えるために一時的にかゆみ・炎症を鎮めるステロイド剤が処方される場合があります。また、乾燥肌を改善してバリア機能を高めると水いぼが広がりにくくなるため、スキンケアの保湿剤も処方されることがあります。

 

 

水いぼができている方の多くは、皮膚がカサカサしています。日頃から乾燥を防ぐスキンケアを行い、搔いてしまうようなかゆみや湿疹があれば、早めにしっかりと治療をしましょう。水いぼそのものがかゆくなることもあります。搔き壊さないように爪を清潔に切っておきましょう。水いぼを直接触れるとほかの人にも感染します。他の人にうつさないような配慮(皮膚同士の接触を避ける、タオルや寝具などの共用を控える、など)も必要です。

 

 

矢橋店 和田