今月はコロナウィルスに感染した時の治療薬についてのお話です。
コロナウィルスに感染した場合、多くの方は無症状又は軽症のケースが多く一般的な風邪をひいた時と同様の治療を行います。
ただし症状が悪化した場合は入院での治療が基本となります。
症状がまだ軽度~中等症であっても重症化しやすい方は、コロナウィルス感染症に効果のある薬を服用しこれ以上症状を悪化させないようにする場合があります。
現在、日本では2種類の経口治療薬が使用されています。
①モルヌピラビル(商品名ラゲブリオ)
②ニルマトレビル・リトナビル(商品名パキロビッドパック)
どちらも体内に入ったコロナウィルスを増やさないようにする薬です。
ニルマトレビル・リトナビルについては供給量が安定していないため政府が管理していますが、モルヌピラビルに関しては、供給量が安定し今年の9月16日に薬価収載され我々の薬局でも取り扱いが可能になりました。
今回は供給量が安定し処方されるケースが多いモルヌピラビルについて簡単に紹介します。
1回4カプセルを朝夕に5日間服用します。
この薬はコロナウィルスに感染した場合、誰でも服用できるわけではありません。
服用できる条件としては、
①18歳以上であること
②妊婦または妊娠している可能性がないこと
まずはこの2点に当てはまらない場合は服用できません。さらに重症化しやすいリスクのある方が服用できる対象となります。
具体的には
・61歳以上
・活動性の癌
・慢性腎臓病
・慢性閉塞性肺疾患
・肥満(BMI30㎏/㎡以上)
・重篤な心疾患
・糖尿病
・ダウン症
・脳神経疾患
・コントロール不良のHIV感染症及びAIDS
・肝硬変等の重度の肝臓疾患
・臓器移植治療を受けた方
この薬は他の一般的な薬剤と比較して、副作用が現れる可能性があります。
よく見られる副作用は、下痢、吐き気、嘔吐、めまい、頭痛、発疹、蕁麻疹、中毒性皮疹、紅斑、血管性浮腫等があります。
さらにまだ使用経験が多くないため、報告されていない症状が出る可能性もあります。
このように紹介すると、服用する気にならない方もおられるかと思います。
ただ上記のような疾患をお持ちの方は、重症化すると命にかかわる事態にもなりかねません。
コロナウィルスに感染した場合は、診断した医師と十分相談の上服用するかどうかを決めていただきたいと思います。
最後に、コロナウィルス感染症は数年前と比較すると死亡率、重症化率共に低くはなってきています。
しかし、未だに亡くなられる方もおられるのも事実です。
さらに、この冬にはインフルエンザの感染とコロナの感染が同時に流行する可能性があるとも言われています。
自分が感染しないことは、ご自身の周りの方にリスクを広げないということです。
マスクの正しい装着、手洗い、手指消毒を行うことはもちろんですが、十分な休息やしっかり食事を摂ることも感染予防には効果的です。
体調を整えてこれからの流行を元気に乗り切りましょう!
平田店 野田