「いままで何も問題なかったから,これからも紙の健康保険証でいい」
ときどき耳にすることがあるこの意見ですが,本当にこのままで問題はないのでしょうか?
今月はマイナンバーカードについてお話します.
日本の労働人口は急速に減少しており,この問題はますます深刻化しています.国立社会保障・人口問題研究所の発表によれば,日本の生産年齢人口(15歳から64歳の人口)は 2020年時点で約 7509 万人ですが,2040 年では約 5978 万人と予測されています.
2040 年では 2020 年に比べて総人口が 1523 万人減るなか,生産年齢人口は 1428 万人減ります.
つまり,これから日本が直面する人口減とは現役世代人口の減少によるものです.
このように労働供給が急激に減少する一方で,人口は減少するものの高齢化率が高まるため労働需要は増大し,今後ますます働き手不足が進行します.
働き手不足は社会全体に深刻な影響を及ぼす可能性が高く,医療現場はその影響が顕著に現れる業界のひとつです.
このような状況で,省力化の一つとして期待がかかっているのがマイナンバーカードの普及です.
マイナンバーカードを利用することで,診療記録を迅速かつ正確に共有できます.これにより,重複した検査や診療の無駄が削減され,医療リソースの有効活用が期待できます.また,過去の診療記録や服薬記録が容易に参照できるため診療の質が向上し,医療従事者の負担が軽減されます.さらに,保険請求手続きが簡略化できるため,医療機関の事務作業が減少し,より多くの時間を患者ケアにあてることができます.特に,複雑な手続きが多い高齢者の医療においてその効果は顕著です.
日本の労働人口減少は,すでに医療現場において問題となっています.もし省力化が叶わなかった場合,現在の医療の質を維持することさえ難しくなる可能性が高いでしょう.この問題に対処するためにはマイナンバーカードの普及が重要です.
当薬局でも,マイナンバーカードを使用したオンライン資格確認システムを導入しています.今後も医療 DX に積極的に取り組み,地域の皆様の医療の質を向上させるために努めてまいります.
あのだ店 宮崎